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2020年夏の作品展の展示作品

2020夏の作品展

 

この8月の作品展は、半紙に夏の言葉を書いた作品の展示です。中学生以上の方たちには、自分の好きな言葉や書体を選んでもらって作品にしています。

麗香の書

「分け入っても分け入っても青い山」

  分け入っても(毛)わけ(个)いっても青い(以)山

 

 種田山頭火の俳句です。山頭火は俳句の決まり事である五七五や季語を入れるという形にこだわらず、自由律俳句という新しい俳句の形を生み出しました。

「道なき道を分け入って進んでも青い山は果てしなく続いている」という意味ですが、山頭火の出口のないように感じる苦しい自分の人生と重ねているともいわれています。

「山」は金文という古い書体です。「青い」までは濃墨、「山」は青墨で書いています。


学生の書 【プライバシー保護のため氏名は消してあります】

天の川 バランスよくていねいに書いています。漢字のはらいや止めがとてもきれいです。「の」の形は意外と難しいのですが、上手に書けました。

すな山 「す」や「な」は筆づかいが難しいのですが、すっきりと書けました。「山」は漢字なので少し大きめに、というバランスも意識して書けています。

日かげ のびのびとした線で元気よく書けています。特に「げ」のはらいは勢いもあり、とてもきれいです。 



流星 中心が取りづらい字ですが、きちんと半紙の中心に書けました。「星」はたくさんの横画をていねいに書いています。

銀河 力強くしっかりと書いています。「銀」が少し大きくなりましたが、「河」を堂々と書いているので全体がまとまりました。

夏木立 「夏」と「木立」の画数が違うのでバランスがとりにくい字ですが、うまくまとまっています。「木立」がゆったりと書けています。


月世界 字の中心を守ってていねいに書いています。縦画をしっかりと書いているので堂々とした作品になりました。

浜千鳥 バランスのとりにくい三文字でしたが、うまくまとまりました。やわらかい線質でゆったりと落ち着いて書いています。

百花香る やわらかい筆づかいで、美しい線が書けました。のびのびと書いていて明るい作品に仕上がりました。


蛍狩   中2で初めて半紙の横書きを書きました。字の大きさを変えて書くのも普段はやらないので、初挑戦でしたが、大胆に勢いよく書けています。 

夕焼 画数が違う字の組み合わせはバランスをとるのが難しいのですが、「夕」をゆったりと書き、いい作品になりました。やわらかい線質で優しい感じがします。

風鈴 すっきりとした線で書けました。2文字のバランスのとり方や文字の間隔もとてもうまく書いています。明るい作品になりました。


青時雨(あおしぐれ) 青葉の木立から落ちる水滴を時雨に見立てた言葉です。3文字のバランス、配置がとても良い。線もやわらかく、行書らしい作品になっています。  

天道虫(てんとうむし)リズムをつけるために「道」をすこし大きめに書いています。3文字の高さも一直線に下がっていかないように変化をつけています。芸術的にも高い作品になりました。



大人の書

麦秋(ばくしゅう) 麦の穂が実り収穫を迎えた初夏の季節。麦にとっての”収穫の秋”であることから、このように呼ばれます。「麦」は篆書体、「秋」は草書体です。それぞれの書体を生かした変化のある作品になっています。

瀑布(ばくふ) 滝のこと。「瀑布」は高い崖から水が急斜面を流れおちている大きな滝をさします。その様子が布を垂らしたようであることから、このように言います。やわらかい線質で、草書体の良さが十分に出ている作品です。

睡蓮(すいれん) 午前に咲いて夜萎む”睡眠する蓮”からこの字を書きます。ダイナミックな筆遣いでゆったりと書けています。  


葉桜(はざくら) 桜の花が散り若葉が出始めたころから新緑でおおわれる時期の桜の木をいいます。散ってしまった桜の花を惜しむ気持ちと桜若葉の美しさを楽しむ思いが交錯した言葉といえます。やわらかい線質でで優しい作品です。

鳴神(なるかみ) 雷、雷鳴のこと。歌舞伎十八番の一つに「鳴神」というものもあります。流れがよどみなく、美しい作品です。

阿吽(あうん) 「阿」は口を開いて出す音、「吽」は口を閉じて出す音。万物の初めと終わりを象徴しています。掛け軸は「茶掛け」という仕立てに作ってあります。茶室の床の間に飾られる軸で、両脇の柱と呼ばれる布の部分が狭いのが特徴です。


零露(れいろ)こぼれおちる露のこと。「零」には「こぼれる、おちる」という意味があります。伸びやかな草書体の作品です。  

清泉(せいせん)清く澄んだ泉の意味。行書体で書かれています。やわらかい線質で、各字のバランスもよく、行書体の魅力が出ている作品です。

走馬灯(そうまとう) 影絵が回転しながら写るようにした灯籠。転じて思い出が駆け巡る様子を表します。3文字のバランスがよく、きれいな作品になりました。 


竹落葉(たけおちば) 竹は初夏に新葉が生えると古い葉を落とします。竹林に風が通り、サラサラとかすかな音をたてて落ちる様子は風情があります。「竹」が伸びやかに書け、雰囲気のある作品に仕上がりました。

百日紅(さるすべり)約100日間花を咲かせるので、この漢字が当てられています。「百」は草書体、「日」は金文、「紅」は篆書体の破体の作品です。「日」は敢えてまん丸にせず、強弱をつけた線で書いています。

空蝉(うつせみ) 蝉の抜け殻のことですが、時代によって「この世に生きている人」「魂が抜けた様」「はかない」などの意味を持つようになりました。作品は行書体で書かれています。 


知足(ちそく しるをたる) 自分の分(ぶん)をわきまえてそれ以上のものを求めない、という意味です。「知」は篆書体、「足」は草書体の破体の作品です。お茶席での掛け軸に使えるように、茶掛けの仕立てになっています。 

 

夏嵐机上の白紙とびつくす

(夏嵐机上の(乃)白紙とひ(比)つ(川)くす(寸))  正岡子規の俳句で、ある夏の日の一瞬の出来事を読み上げています。半紙を横に使って爽やかに書き上げています。

子どもらが鬼ごとをして去りしより日ぐれに遠しさるすべりの花(子ともらか(可)鬼こと(登)をし(志)て去りしよ(与)り(里)日くれ(連)に(二)遠しさ(左)るす(寸)へり(利)の花) 島田赤彦の短歌。「鬼ごと」は鬼ごっこのこと。散らしや墨の潤渇が美しい作品です。 


寂しさや須磨にかちたる濱の秋

(寂しさや須磨に(耳)か(可)ちた(多)る(累)濱の秋) 松尾芭蕉「奥の細道」敦賀の種(いろ)が浜の句。光源氏が配流された須磨は寂しいと知られているが、ここ種の浜は須磨よりはるかに寂しい、という意味です。「濱」を隷書体、「秋」を篆書体にしてリズムを持たせています。

山若葉(やまわかば) 初夏の木々の緑は鮮やかで、山全体が新しい衣をまとっているように見えます。「山」は金文、「若葉」は草書体の破体の作品です。流れがよく、伸びやかな作品です。